2・函館→小岩井
『海の広さに心を洗う 羊と気分はランボーU!』


 函館駅のペルリ総督の壁画に見守られながら、今野晋二郎は南へと。
次の目的地は小岩井牧場。牛乳とかバターとかで有名ですよね!ですよねぇ。(M雄風)
常々ここには行きたかった理由がござんすのよ。それは何かと言いますとコレが
SLホテル「牧場の銀河鉄道」!!
役目を終えたブルートレインが蒸気機関車D51に先導される、と言う素敵なデザイン。
こりゃあヤバい。道和(袁質)の世界まで飛んで行けそうなホテルだ。
小岩井と言えば岩手、岩手と言えば宮沢賢治。
こんなロマンテックな所に行かない手はない。そういうわけで目指すは小岩井だ!

 まずは電車は木古内を目指す。
木古内からは特急に乗る。というか特急じゃないと青函トンネルをくぐれない。
そういうわけで青春18きっぷは木古内−蟹田のみ特別に特急乗車を許されているのである。
しかし、函館から特急に乗ってそのままトンネルをくぐることは出来ませぇん!!
つまり、わざわざ木古内までは普通列車で行かなくてはならないのですよ。
まあ、天気もイイし海も見れるし、こんなのも良いかな。
「心に残る良い旅を」。いい言葉だね。

1時間ほど揺られて、木古内駅に到着。
普通列車の常とあって、ここでも1時間の空白時間が生まれる。
こんな時はスーパー、コンビニでで軽く買い物(主に軽食・飲み物)というのがいつもだが
残念ながら周りにコンビニはなく、スーパーも開店時間前(8時)。
じゃあどうしようか、と迷ったときはとにかく動く。それが俺の旅情哲学。
そうしたら……


そこには、海が広がっていた。
駅から歩くこと訳5分、橋を越えた突き当たりは、陸の突き当たりだった。
鳥居、その先に見える海。
ここは「佐女川神社」というらしい。
そこにおいてあった石碑を見ると、ここで禊ぎを行うんだそうだ。
周りを見ても社のような物はなかった。
後で調べたところ、神社自体は駅の裏の方にあるらしい?
時間があればもっと調べてみたかったなぁ。
名残は惜しいが、海を見れた。
(・∀・)b いいね!!
そんなこんなで、木古内での一時間は、長いものではなくなった。

 木古内を出て、次に目指すは蟹田。
本当は目的地は青森なのであるが、前述のゴニョゴニョゆえに一度蟹田に止まらなくてはならない。
そして、青函トンネル。
ここをくぐる訳なのだが、実はこれ面白いかというと実は………(苦笑)
俺の旅の楽しみはやはり景色を見ることなんだが、これが何も見えない。
外は暗い、殺風景なアスファルトなのである。
ああ、これがもし透明な壁だったら…………!!
もしそんなことがあったら俺は通ってでも電車に乗るね。
優雅な海中散歩。そんな雰囲気で楽しめそうで。
そんなことを思いながら電車に揺られ、音楽を聴いている。

ちなみに、この旅行記でちょくちょく自分の写真を撮ってるキモい俺。
どうやって撮ってるかというと
このスーパーマシン、「ボ撮るんです」が役に立つのである。
ペットボトルにくっつけると、あら、三脚の爆誕。
わざわざ買ったわけではないんだが、カメラ買ったときにセットで付けてもらいました。
これがこの旅ではたびたび大活躍。
これはヨドバシカメラ限定商品なので、気になった人はぜひ!!
ちなみに俺はヨドバシの回し者ではありません。
あと、キメキメで写真撮ってる俺はやっぱりキモいです。

 そんなうちに、青函トンネルをくぐり抜け俺は蟹田にたどり着く。
蟹田。青森県に上陸だ。
去年の夏は青春18切符でテツと合流すべく神代、higeと神社で野宿して蚊に撃沈したっけ。

あったあった。この神社だ。
駅から歩いてほど近く。
あの日も暑い夜だった。
今日はそこに、暑い昼に足を踏み入れる。

左が神代とhigeが寄りかかって寝てた狛犬かな。
右の大木に、去年の俺は寄りかかっていた。
なるほど、懐かしい気持ちになってきた。蚊と戦ってコンビニに逃げ込んだという思い出も、
月日というフィルターにかかれば美しく変わる物だ。
思い出とはまさに、素晴らしい物だよね。

 さて、ここでも待ち時間がある。
しかし、ここでは迷わずに行くべき所があるのだ。…………それは。

海だーーーーー!!!
去年の夏も、ここで海を見た。
去年見た海は朝の海だった。
逃げ込んだコンビニで一夜を過ごし、カップラーメンを食って散歩をして。
ここで朝の海を見たのだった。
今年、この海では。
木古内から一緒に乗り合わせていたらしい一人の旅人とばったりここであって、声を掛けて話をした。
大学生で、俺より一つ下とのことだ。
北海道から出てきてこれから新潟を目指すらしい。時刻表を見ながら海を見ていた。
うん、なんかこういう人と話をすると楽しくなってくる。
今、旅をしている自分と、別の場所を目指して旅をしている人。
共通点は「一人旅をしている」ということ。
でも、こういう出会いがあるから一人旅は孤独じゃないんだ。
そして、蟹田を後にする。

 次に目指すのは青森。そしてそこで乗り換え、秋田は大館を目指す。
この旅でただ一つ、残念だったこと。
それは秋田をゆっくり回れなかったと言うこと、これに尽きる!!
この旅前半のテーマ、「東北六県制覇の旅。」
何とか六県を回ることは出来たのだが、出来れば秋田もゆっくり見たかったな!!

大館。秋田には絶対、また来るぞ!!!

 さあ、次に目指すのは岩手は盛岡。盛岡で乗り換えて小岩井を目指すのだ。
ここで18きっぷの旅のイレギュラーという物がおこる。
途中で好摩(こうま。ずっと「よしま」だと思っていたがそれは福島県だ。)−盛岡間があるのだが
ここは「IGRいわて銀河鉄道」という第三セクター線となっているのだ。
18きっぷはJRなので、これで電車に乗ることは出来ない。
そういうわけで乗車券を買います。
そういうわけで盛岡を目指す。

安比高原にさしあたった当たりで一雨きた。
この雨はすぐに止んで、空には橋が架かった、と言うわけである。
しかし残念ながらこの後もまだシトシトと雨が降ってくる。
そして、突然の車内放送。
どーやら先の方でものすごい夕立らしく、前の電車が止まってしまったようだ。
そういうわけで俺が乗る電車も一度ストップ。
ま、こんなハプニングもまた旅の醍醐味という物である。
それに、何も悪いことだけじゃない。

外に出て、ホームから見える夕焼け空。
止まった電車、続く線路というロケーションの上の夕空もまたシブいものがある。
あー、絵心の一つもあればこんな風景を切り取ってノートにしまうものを。
俺には写真に納める事くらいしか出来ない。
でもヤッパリ一番スゲーのは自然が作り出す姿を、何も通さず目で見ることだろうね。
電車が動き出す、というアナウンスを聞いて俺は電車に乗り込む。
それからは何事もなく、少々の遅延だけを持って盛岡へと到着した。
……栗谷川さんッッ!!(正しくは「厨川」)

 そして電車を乗り換え、タクシーに乗って。
すっかり暗くなった空の下、俺はようやく目的地、小岩井牧場に到着した。
遅れたことを謝りつつ、俺の気持ちはすでにSLホテルに向いていた。

なるほど、本当に電車だ!!
人を運んでいた電車は生まれ変わって、人を運ぶのをやめたのかと思えば。
こうやって人を夢に運んでるわけか、なんてらしくなく言ってみようじゃないか。

内装はこんな感じ。
この日はフロに入り、明日の旅の準備をして早々と寝ることにした。
しかし、電車の中で寝ると重うとなんかワクワクする。
別に寝台と同じやん?と思うだろうが、そんなもんなのだ。
昔人を運んだ、レジェンドの中で寝るという思いがなんか俺をワクワクさせてすぐには寝させてくれなかった。

 明朝。
何となく周りの風景を見て回ることにしてみた。

昨日暗い中で見た電車とは違う姿。
そして、先頭には機関車D51の力強い黒い姿。
何よりも好きだったのが「小岩井〜南十字星」の指標。
なんか、本当に星まで飛んでいきそうだぞ。
周りには羊がいた。もっさもさしてかわいい。
勿論朝飯ついでに牛乳を飲みました。濃い。ンマい!!


まきば園、と言うわけでちょっとしたテーマパークみたいだ。
花壇にはキレイな花もあり、じっくり見て回るのも良さそうだろう。
しかし、哀しいかな日程の決められた旅。ここで出来る時間はあと3時間なのだ。
さあ、何をしよう――――――――――
そこで思いついた物。それはアーチェリー!!
このまきば園ではアーチェリーをすることも出来るんである!!
一度として弓は引いたことはない。やるなら今しかねー!!
………結果。
難しいッ!!!
なかなかうまく当たらないですよ。ブレちゃう。
ゲームなんかで「ちょっ、外すなよ!!」とかついつい飛び出す独り言。
今なら言える。ごめんなさい当たりません。当てろよとか言ってスマンでした。

せっかくなんでハチマキ代わりにタオル巻いてランボー気取り、と言うことで。

 そして時間が来た。電車には乗らなくちゃならない。
まきば園を後にして向かうは盛岡。そして宮城、山形。故郷・福島。
名残は惜しいが行かなきゃならぬ。
でも絶対また来るぞ、小岩井牧場!!

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